難波裕美

頌栄企画 マネージャー

難波 裕美

  • ・日本長老教会 杉並教会員
  • ・厚生労働省認定葬祭ディレクター
難波裕美のひとり言
そばにいるよ
エンバーミング
どら焼
葬儀後
納得できない
過去のアーカイブ

難波裕美のひとり言

そばにいるよ

N子さんは、44歳という若さで、Hちゃんを残し旅立たれました。Hちゃんは、小学5年生の女の子です。小学5年生なのに、彼女はとても気丈でした。御葬儀の打ち合わせにもしっかりと立ち合われ、涙を流す事なく、お母様の御葬儀の準備に掛かりました。病院で看護師さんから「泣いて良いんだよ。」そう言われていたな〜。まだお母様の"死"を現実として受け入れる事が出来ていないのでしょう...そう思いました。私は、Hちゃんに対してどのように接したら良いのか、私に何が出来るか...考えました。ですが、もし間違った事をして"傷付けてしまってはいけない"そう思い、グリーフの指導もして頂いている、橋爪謙一郎先生(前回エンバーミングで書かせて頂いた先生)に相談をしました。先生は「泣いて良いんだよ...とか、最後なんだから...とか、お母さんに手紙を書いてあげな等とは言ってはいけない。泣いて良いんだよと言って、彼女が泣けなかったら、"何で私は泣かないんだろう...冷たい人間なんじゃないか..."とか、その事が彼女の人生でずっと残りトラウマになってしまうかもしれない。手紙だって、小学5年生なら誰かに言われなくても、書きたいと思えば書いてくるはずです。」そして「難波さんが、いつでもそばにいるからね!と、安心させて上げれば良いですよ。」そうアドバイスして下さいました。


御葬儀当日、私共はHちゃんのご要望通りに、式場の準備にかかり、祭壇を飾らせて頂きました。式場には、沢山の思い出のお写真が飾られ、祭壇は赤・ピンク・オレンジ・黄色、様々な明るい色の花で飾られました。その明るさや華やかさが、反って悲しみを抱いてしまうのではないかとさえ、私には思えました。Hちゃんがお父様と式場に来られ、私はHちゃんに祭壇の事を聞きました。Hちゃんは、「はい、これで良いです。有難うございます。」と答えてくれました。私は「今日と明日、ずっとHちゃんのそばに居るから、これはどうしたら良いのかな〜とか、頼みたい事があったら、何でも言って下さいね。」そうご挨拶しました。お式が始まり、大変多くの方が来られました。Hちゃんのお友達も大勢来られ、励ましのお手紙や品物を沢山頂いていました。そして、お父様と一緒に、皆様にしっかりとご挨拶をされていました。私は、Hちゃんのそばに居て、鞄やお荷物を預かっていました。初めのうちは、私からHちゃんに声をかけていたのですが、段々と時間が経つにつれ、私がその場に居ないと、Hちゃんが私を探してくれるようになりました。鞄だけでなく、色々な物を預けてくれたり、沢山のお話もしてくれるようになりました。
御葬儀が終わり、私はHちゃんに対して何ができたのかを考えましたが、ただそばにいることしか出来なかったように思いました。
私は、今後、Hちゃんの為に何か役に立つことは出来ないだろうか...考えました。この先、色々な困難にぶつかるでしょう。お母様がいらっしゃらない事で苦労もあるでしょう。その様な時、お父様にもお婆様にも話せない事も、もしかしたら第三者の私になら話せる事もあるかもしれない...。いいえ、そんなに簡単なものでは無い事ぐらい、私にも分かります。ですが、何か役に立ちたい!その一心でした。私は、また間違った事をしてはいけないと思い、橋爪謙一郎先生に相談させて頂きました。クリスマスが近かったので、先ずはクリスマスカードを出そうと思いました。先生は『直接、Hちゃんにカードを送ってはいけない。先ずは、難波さんの思いをお父様にお伝えし、お父様に判断をして頂く事です。』そうアドバイスして下さいました。私は、自分の思いを書いた手紙と、Hちゃん宛のクリスマスカードを封をせず、お父様宛てに一緒に送らせて頂きました。クリスマスカードの封をしなかったのは、私がHちゃんに書いた内容も確認して頂きたかったからです。もし、橋爪謙一郎先生に相談をしていなかったら、私はHちゃん宛に、直接カードを送っていたでしょう。私は自分勝手な思いだけに走り、お父様の思いを無視し、Hちゃんの状況も分からず傷付けてしまっていたかもしれません。橋爪謙一郎先生に相談をし、アドバイスを頂いたから、私は自分の思いをお父様にお伝えする事もできました。橋爪謙一郎先生に相談をして、本当に良かったと思いました。御遺族の気持ちや状況を理解もせず、偽善者ぶって、人を傷付けてしまう事が沢山あるのだと気付かされました。


年が明けて、Hちゃんからお手紙が届きました。私の事を覚えていて、お礼の言葉も書かれていました。私は、お返事を頂けた事がとても嬉しく、その事を橋爪謙一郎先生にも報告させて頂きました。先生は『一歩を踏み出す事は、とても大変な事だけど、踏み出した以上、続けていかなくてはいけない。続ける事は、一歩を踏み出した事よりも、もっともっと大変な事ですよ。』そうおっしゃっいました。そうですよね、私が一時の感情で手紙を出し、役に立ちたいなんて綺麗事を言い、続ける事をせずに、途中で投げ出してしまったら...Hちゃんを傷付け、お父様に対しても本当に失礼な事をしてしまうのですから。私は、頑張ります!私を覚えていてくれ、お返事を下さったHちゃんの為にも。何よりも、私に勇気と行動を起こさせてくれたのですから...。今回の事で"グリーフサポート"に関心を持ち、私はスキルアップする為にも"グリーフサポート"を学びたい!と思いました。御遺族の思いや立場を理解し、御遺族に寄り添えるスタッフになりたいと、私は思いました。
間違った知識でなく、専門的な知識を身に付ける為に、只今勉強中です。